イベント情報イベント情報

おやじによる
おやじブログ

2020.05.07不動産のこと

土中から有難くもない『汚(お)土産』が出てきてしまった事例です

長い間当社にて管理していた賃貸住宅物件ですが所有者さんから
「長野市には帰る予定もなくなって しまったので、
『不動産の終活』として物件の売却をしたい」との相談をいただきました。

昭和50年代に一団の住宅地として
販売された土地に自宅を建設し住んでいましたが、
15年程前転勤に伴い 空き家になってしまうので貸家にしたいと
相談を受けたのが取引の始まりでした。

50年当時の団地ですから
道路幅は4mと今になればやや狭いものの
きちんと区画整理された住宅地で交通の便も良く
建物の古さに反比例してすぐに入居者さんも決まり、
当社が管理している間ほとんど長期間の空室もなく
賃貸経営をされてきましたが、
所有者さんも70歳代後半になり
家族会議の結果「売却」という結論が出ました。

しばらくは当社でそのまま賃貸物件として契約を引き継ぎましたが、
その入居者さんも転勤になり賃貸契約も解約 することに。

建物は40年以上経過していますので
リフォーム工事をして販売できる物件でもなく
土地のみの販売であれば 需要の強いエリアなので
即売却できるだろうと考え建物は解体することに。

工場が建っていた場所でもなく一般住宅があった場所なので
『土中』から何か廃棄物が出るなど予想もしていな かったのですが、
解体業者の社長から『樋口さんすごい量の土産でたよ!!』と。

すぐに現場に駆け付け確認すると、
ほとんどが飲料ビン、缶、であることが判明しました。

以前の所有者さんに確認しても
「分譲地を購入して家を建てただけだから自分では何もしてない」の当然な回答。

解体業者の社長が近隣にて聞き込み調査してもらうと、
分譲後この土地は直ぐに住宅を建てずに更地であった為
何者かが土を掘り返しビン、缶を大量に無断投棄していた事が判明しました。

何れにしてもこのままにしておく訳にはいきませんので
解体業者さんに今度は廃棄処分の依頼です。

この処理をしている間は当然販売停止となり
予定していた売り上げも目途がたたず、
またこの処分費用には100万円 以上かかるため
利益減と2重のショックです。

ショックではあったのですが、これが販売した後、
または仲介での売却ではなかったことが唯一の救いです。

不動産の売買契約書には必ず『瑕疵担保責任』の条文があります。

今回の土地であれば、購入した土地に地中埋設物があった場合には
売主がその撤去費用を負担しなければいけない、
というのが瑕疵担保責任の考え方です。

購入者の立場になれば
『土地も買ったし、さあマーホームを建てるか!!』と
心ウキウキのはずがその土地から 『大量のゴミ』が出てくれば
そんな土地に住宅の新築もしたくなくなるはずです。

処分費用は当然のこと
「心に負った瑕疵の損害賠償はどうしてくれるの」となります。

販売前であったのでこうしてゴミ処理もできましたし、
仲介での販売でもなかったので事前に『汚』の事実も把握 することができました。

解体業者の方には細かな部分までゴミ処理をしていただき、
その後決まった購入者さんには写真を全て確認していただき
ゴミが出た事実、ゴミの処理方法、微量のゴミが残ってしまっている可能性、
全てありのままに隠すことなくお話しを させていただき納得のうえ、
また心理的な瑕疵を値引きさせていただき契約をしていただきました。

利益はほぼなく何だかとても疲れた案件でしたが、
高い高い授業料を払って良い勉強をさせていただきました。

建物が建っている土地も、更地だった土地も、
土中に何が眠っているかはわかりませんが、
土地を購入する人は売主に対して 一言
『この土地には土産はありませんね』と
念を押すことをおすすめします。

長野市|不動産の生前整理のお手伝いならおやじ不動産|リアルト長野有限会社 > 不動産のこと > 土中から有難くもない『汚(お)土産』が出てきてしまった事例です